1/15/2012

OML(Outer Mountain Loop)11/21/2011

出来る限りの準備はすべてした。天候もバックパッキング中は崩れる心配は今のところなさそう。

標高がそんなにない山と言えど山。そのため天候が急変した場合も考慮して雨具やその他緊急時に必要なものはすべて持った。使わない確率は高い。余計な荷物になりかねないのでためらったが安全を最優先した。

準備完了。あとは背負って歩くだけ。


8時AMに出る予定が、友だちの身支度が大幅に遅れ9時AM出発。バックパッキングの場合はチソス・ビレッジの駐車場に駐車することはできないため、Amphitheater(野外劇場)の駐車場付近に駐車する。野外劇場はチソス・ベイスン・キャンプサイトの反対側にあり車ではほんの数分だ。車を置いてビレッジまで歩いて戻ってこなければならないが、これもほんの10分ほどである。

今回は私がチソス・ビレッジで荷物を見張り、友達が駐車しに行った。この日の天気は曇。薄い長袖シャツ1枚着て丁度いいくらいの気温だった。

待っている間にGPSをセット。地図はすぐに取り出せる場所に入れ、トレッキングポールの長さを調整する。何しろ変にドキドキする。OMLを歩いたハイカーと話したところ、全員が全員ドッドソントレイルはキツかったと言っていた。普段歩いているだけあって、体力はそこそこあると思っているが、果たして4日も持つのだろうか?

さらに、Death in Big Bendの本に書かれていたOMLで死亡したケースを思い出した。一人はビッグベンドに何度も足を運び、歩いたところはないくらいの強者だった。OMLも過去12回歩いた経験者だったのにもかかわらず、ちょっとした判断ミスで死に至る事故になってしまった。もう一人はドッドソントレイルを歩いていた時に天気が急変。15℃あった気温が一気に-5℃となり20cm以上の大雪が降り、装備が不十分だった若者の命が失われた。

自分なりに天気が急変した場合や遭難した場合のケースを想定して荷造り、準備してきているが、実際何が起こるかわからないのが旅である。運もある。そんなことを考えているうちに友達が戻ってきた。

トレイルヘッドにて
そしていざ出発!

この日はPinnacles(ピナクルス)トレイルを登り、そのままBoot Canyon(ブートキャニオン)へ進み、そこからJuniper Canyon(ジュニパーキャニオン)に逸れて一気に砂漠へ降りる。1500フィート(500m)の上り、3000フィート(1000m)の下りだ。そして水を補給してDodson(ドッドソン)トレイルへ入る。ゾーンキャンプはドッドソンエリアなので、ドッドソントレイル上でキャンプサイトを確保しなくてはならない。

4回目ともあってバックパックの調整は問題なく、13kgほどある重さもほとんど感じられない。ハイキング時と比べるとペースは若干落ちつつも問題なく登っていく。この日はたくさんの人がトレイルにいた。特にボーイスカウトなどの大人数のグループが数組いたのもあり、とても賑やかだった。

Pinnacles Trailから見たWindow
上を見上げるとToll Mountain(トールマウンテン)がどっしりと構えている。下から見ると急な崖でどこを登るのだろうと不思議だが、見えなくともトレイルはきちんと存在する。そして標高が上がるとV字のウィンドウが見えてくる。

ウィンドウの奥には砂漠が無限に広がっている。そしてその向こうは晴れ。きっと午後は雲も切れてチソス・マウンテンも晴れるのだろう。

色々な人を追い越し追い越されしながら、Emory Peak(エモリーピーク)の分岐点に来た。ここはトイレとちょっとしたスペースがあり、みんなここで休憩を取る。

エモリーピーク分岐点
 11時半AM。2時間半で登ってきたことになる。1時間ごとに10~15分の休憩を取っているので、個人的にはいいペースで登ってきた。ここで昼食にする。

昼食はエナジーバー、ドライフルーツ、ビーフジャーキー、ピーナツなどハイカロリーなものにした。そして水も補給する。食べ始めると、Mexican Jay(メキシカン・ジェイ)という青い鳥がたくさん寄ってきた。

Mexican Jay
この鳥はチソス・マウンテンをハイキングすれば必ず1回は目撃することができる。30cmほどの大きさで、とても綺麗な青い鳥なのですぐわかる。

鳴き声は、姿とは似つかずカエルのような感じだ。群れを組んでいるようで一羽見かけるとすぐそばにもう数羽いることが多い。

ここで30分ほど休憩し、12時PMにブートキャニオンに向けて出発した。このあたりから雲が切れだし快晴となった。しかしそれほど暑くなることもなく快適に歩くことができた。先程まではあんなにいたハイカーが一気にいなくなった。どうやらエモリーピークへ向かったようだ。あたりは静まり返り、聞こえるのは自分の足跡のみ。所々で立ち止まっては景色を堪能した。

ブートキャニオン付近
エモリーピーク分岐点からブートキャニオンまでは緩やかな下りとなる。ブートキャニオンの目印である「逆さまのブーツ」岩が姿を現すと、ここから1マイルほどでブートキャニオンに到着だ。ブートキャニオンはチソスマウンテンで水を確保できる唯一の場所だ。しかし、探してみるもやはり水は流れていなかった。今年のテキサスの干ばつは凄まじく、山火事や湖の水が枯れてしまって大量の魚が死んでしまったりと、多くの被害が出た年だった。そのため、レンジャーと話した時は「恐らくないだろう」と言われていたが、全くそのとおりであった。

ここで、昨日許可証を出してもらったレンジャー夫婦に出会った。ゴミ拾いをしていたようで話しかけると、「何を拾ったと思う?お米の入った袋だよ。あとね、なぜか吐き捨てのパンツもあったよ。」

吐き捨てのパンツ。一体誰が・・・。レンジャーの仕事の大変さがこういう所でもうかがえた。ブートキャニオンを通過してすぐ、いよいよジュニパーキャニオントレイルとの分岐点に差し掛かる。

12:40PM、トレイル分岐点に到着した。トレイルサインを通過すると、いきなり急な上り坂になる。これがかなりキツかった。ほんの10分ほどだったと思うのだが、重いバックパックを背負っていたため、かなりズッシリきた。

登り終えた所で呼吸を整えるために休憩。ここで一度地図を確認する。どうやら登りはこれで終わりのようだ。ドッドソントレイルとの分岐点までは6.3マイル(10km)、山から砂漠へと3000フィート(1000m)一気に降りていく。

それほど足場が悪い場所でもなかったのに、ジュニパーキャニオンの下りでは3回ほど足を滑らせて転んだ。普段重い荷物を背負っていなくても下りは苦手である。膝に負担がかかるし、バランスが取りづらい。

Juniper Canyonトレイルからの眺め
1箇所、崖崩れかと思われる場所があった。急斜面に小さい石から大きな岩までゴロゴロしていた。木が生い茂っているエリアであるため視界はいいとは言えないが、所々に開けている箇所がありジュニパーキャニオンを眺めることができた。最初の方はひたすらスイッチバックで標高を下げていく。途中目印となるUpper Juniper Spring(アッパージュニパースプリング)を通過する予定なのだが、まだそれらしきものは見えない。

アッパージュニパースプリング
急な下りが終えたところで、大きな岩がゴロゴロしている場所に到着した。この時点で3時PM。地図を見るかぎりでは、ここがアッパージュニパースプリングだ。本を読んだ限りでは、かなり高い確率で水が流れている場所らしい。しかしながら、ここにも水はなかった(どうやら、Juniper Campと書かれている看板でトレイルを外れたところにあるらしい)。

アッパージュニパースプリングを通過すると、松やジュニパーが少なくなり砂漠独特のサボテンや低木が多く見られるようになる。そのため、もちろん日陰もなくなる。午後の3時、気温は恐らく80F前後だろうか。ここからジュニパーキャニオンを歩いて行く。左手にはCrown Mountain(クラウン・マウンテン)が立ちはだかっている。

左側はクラウン・マウンテン
だんだん暑くなる。そして周りは茶色一色だ。交通量の少ないトレイルであるため、トレイル幅はほんの30cmほど。そのすぐ横に鋭いトゲを持ったサボテンが生えている。足元だけならまだしも、自分の背丈ほどあるトゲトゲいっぱいの植物がトレイルにはみ出しているため、トレッキングポールで避けながら歩く。

しかし、私はこのカラッとしたテキサスの砂漠地帯の風景が大好きである。たしかに色は茶色一色と映えないかもしれないが、その背景には真っ青な空が果てしなく広がり、いいコントラストとなる。季節によっては赤やピンク、黄色、紫など、砂漠地帯独特の花が所々に咲き乱れ、茶色い砂漠の風景に色を添えてくれる。

ユッカやサボテンが生息している
しかし、ここらへんから足に疲れが出てきた。休憩を取りたいが座れそうな場所も見当たらない。辺り一面「座るな、踏み込むな」と言わんばかりにサボテンやトゲトゲしいユッカが生息している。太陽はだいぶ傾き、果たして明るいうちにキャンプを探せるのか疑問に思えてきた。

前日、水を置きに来た場所からの景色は覚えているため、その景色と自分が今見ている景色を照らし合わせようとしても全く一致しない。地図とGPSで確認してみるとあと3マイルはあると思われる。

友達はだいぶ先に進んでしまい姿が見えない。私は自分のペースでゆっくり進む。時々後ろを振り返りながら景色を確認しては、よさそうな場所で止まって写真撮影。疲れていても写真は頑張って撮った。

クラウン・マウンテン
17:00PM。だいぶ陽が傾いてきた。ここで1組のカップルに出会った。OMLを反時計回りに歩いているらしい。やはりドッドソントレイルが一番キツかったと言っていた。

ここでようやく昨日見た景色とだんだん重なってきた。恐らく1マイルあるかないかだろう。後ろを振り返ると山に太陽の光が反射してオレンジ色に染まりつつある。このくらいが写真を撮るにも一番綺麗なのかもしれない。日の入り直前にはオレンジ色になるけれど、影もかなり出ているのでコントラストがかなりキツくなる。

そしてまたもう1組別のカップルとすれ違った。同じくOMLを歩いているとのこと。しかし、女性はデイパックを背負っているだけで、大きい荷物は男性がすべて背負っていた。こういうのもありだな・・・とふと思った。

駐車場からの景色
5:30PM、やっとドッドソントレイルの合流地点の駐車場に到着。友達はすでに到着していて、水を自分のバックパックに移している。陽がだいぶ傾き、あと1時間弱で日の入りになるため、休憩を取らず明日の分の水を自分のCamelbakとボトルに移動する。

友達は荷物をゴソゴソしていて時間がかかりそうだったので、遅い私が先に出発、ドッドソントレイル上でキャンプ設営場所を探すことにした。


遠くに見えるSierra del Carmen
遠くにはオレンジ色に輝くSierra del Carmen(シエラ・デル・カルメン)が見えた。今は撮影よりもキャンプサイトを確保することだ。この駐車場から最低0.5マイル、トレイルから100ヤード(30m)離れたところにテントを設営しなくてはならない。ドッドソントレイルを歩いていると、所々に植物が生えていない空き地になっている場所が数カ所見えてきた。しかし、まだ駐車場からあまり離れていない。

さらに歩いていくと、右側にいい感じのスペースがあった。サウスリムも見えるし眺めは最高だ。駐車場から0.5マイル離れているかは微妙だったが、足あとがたくさんあったためキャンプサイトとして使われていることは間違いない。何しろ薄暗くなっていきているので、今夜はここで寝ることにした。この時すでに6時PMだった。

荷物を全部取り出してテントを設営する。風もなく5分ほどで完了した。そこに友達が到着。どうやら蓋をしっかり締めなかったようで、バックパックの中で水が1Lほど漏れてしまったとのこと。寝袋などがすべて濡れてしまったので、すぐに全部取り出して乾かすことに。1L無くしてしまいながらも明日の分の水は十分にあるということで一安心。すぐに夕飯の準備に差し掛かる。

夕飯を作っている時に若干風が出てきた。風に背を向けてストーブの火に当たらないようにする。さらにテントに匂いがつかないように、離れた場所で調理した。椅子もないキャンプ。虫の音が聞こえるかと思いきや、自分たちの音以外は何も聞こえなかった。

Dodsonトレイルからの夕焼け
陽はすでに暮れて暗くなったのでヘッドランプを取り出した。この日は三日月だった。地平線がほんのりオレンジ色で、黄色、紫色とキレイな空だった。少しずつ星が出てくる。

この視界の良さは砂漠ならではなのだと思う。高い山はなく、乾燥しているため、色がくっきりしている。こういう色やキレイな景色を見た時が、「来てよかった」と心から思える一瞬だ。

ご飯を食べ終えたあと、運良くも友達のスリーピングバッグはほぼ乾いていた。夜ではあっても乾燥しているため乾くのだろうか。

バックカントリー許可証をテントの外側に吊るし、やることもないので寝ることにした。寝る前にバックパックのジッパーはすべて開けておき、食べ物はジップロックで二重にしてその横に置いた。普通は木に吊るすのかもしれないが、吊るせる木など存在しないので、匂いがしないように密封してテントから離れた場所に置いた。

これで寝れるとテントに入ったら、すぐに風が強くなった。気温が下がったわけではないが、何しろ風の音がうるさくて眠れない。許可証の紙がバサバサと音を立てる。仕方がないので取り外して中で保管する。

風はジュニパーキャニオンから吹きつけるのか、風が近寄ってくるのが良くわかった。だんだんと風の音が大きくなりテントを大きく揺さぶる。するとまた次の風が吹いてきて、テントが揺さぶられる。夜通しこの繰り返しだった。今回は耳栓を持ってきていたので、耳に詰め込んで寝るとなかなかいい感じで音をブロックしてくれる。静かになるとすぐ眠りに落ちた。

この日歩いた距離は11マイル(17.6km)。休憩も含め9時間かかった。この日一番辛かったのはジュニパーキャニオンの下りだった。

1日目は赤いライン。
最初の部分は青色と重なっている。
標高プロット。登って降りての1日だった。

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