2007年の4月にビッグベンド国立公園を訪れてから、また近いうちに行きたいとずっと思っていた。そして2008年の11月27日~30日の感謝祭のお休みを使ってビッグベンドに遊びに行く予定だった。
しかし、この2008年は体調が優れず、何年も続いていただるさが悪化。寝ても起きても、何をしてもだるさが取れない。さらに喉が異常に乾き、トイレに行く頻度が増え、知らぬ間に意識が飛んで寝ていたり、吐き気がしたり、食欲不振、さらには体重が結構落ちてしまったため、さすがにヤバイと思い仕方なく検査を受けることにした。
同僚にファミリードクターを紹介してもらう。ファミリードクターとは一般的なお医者さんのことで、風邪や腹痛、頭痛、ちょっとした体調不良などで訪れるお医者さんのことだ。また、病院というよりも診療所のような感じで、X線やMRIなどの検査機器は通常ない。
アメリカの医療は、細分化されていて、検査が必要な場合は、検査機器のある場所に予め予約をしてから、検査を受けることになる。血液検査もそれ専用の場所が設けられていて、その場所に行く必要がある(大きめの病院となると血液検査を受けられるところもある)
アメリカの医療費は高いと有名だけど、保険に加入している場合は、その保険にもよるけど通常は自己負担はそれほどでもない。しかし日本と比較するとやはり保険が適用されても高いと思う。保険に加入していない状態でMRIを受けると、だいたい$3000かかるらしい。ERだったりすると値段はもっと跳ね上がるため、容易に受けたいとは思えないものだ。
アメリカは、保険によっては直接専門医に問い合わせてもいいことになっているけど、通常は最初にファミリードクターに行って診てもらい、異常があった時は専門医を紹介してもらうというのが一般的だ。ファミリードクターは専門医とのネットワークが豊富で、必要に応じて専門医を紹介してくれる。
私も何が原因かわからなかったので、ファミリードクターに足を運んだ。そして血液検査をしてもらったところ、カルシウム値がちょっと高いと言われたので、念のためということで2度目の血液検査を受けた。
カルシウム値は1回目と比べ上昇していたため、オースティンの内分泌科(Endocrinology: エンドクリノロジー)の先生を紹介してもらう。2回目の血液検査の結果もこの先生に直接送ってもらうことにした。
2回目の結果が出たあとで、専門医の先生にアポを取って診てもらった。しかし、血液検査の結果を見て一言。
「異常はありませんね。すべて正常値です。」
そんなはずはない!!
「カルシウム値も今回は正常値です」
嘘だ!こんなに体がだるくて体重も落ちてしまったのに、異常がないはずがないと言い張ったら、もう一度血液検査をしてみようということになった。
今回は疑っていたカルシウム値、副甲状腺ホルモン(iPTH)を合わせて調べてもらうことに。3回目の血液検査。
吐き気がひどかったため、吐き気止めを処方して欲しいとお願いしたけど、原因がわかるまでは薬は一切処方できませんと言われガッカリ。
2日後にビッグベンド旅行を控えていたけれど、体調がまったく優れず、一緒に行く予定だった友達も「今回はキャンセルにしたほうがいい」と言うので、渋々キャンセルした。確かに、あんな辺鄙なところで体調が悪化したら、それこそ大変だし迷惑もかけてしまっていただろう。
キャンセルしたその日、いつものように会社のデスクでランチを食べていたら電話がかかってきた。昨日の専門医からだ。血中カルシウム値が上がりすぎて、いつ心臓発作が起きてもおかしくない状況だから、さっさとER(Emergency Room)に行けと言っている。血中カルシウム値をすぐにでも下げないと危険だというのだ。ERと聞くとテレビ番組を思い出す。
さらに、副甲状腺ホルモン値もかなりの異常値を示しているらしく、ここで始めて副甲状腺機能亢進症の名前が上がった。
英語では、Hyperparathyroidismという長ったらしい病名だ。
普通はここでビックリするのだろうけど、この時の私は驚くこともなく、やっと治療が受けられるとわかり、ある意味うれしかった。
それも、行ったらすぐに対応してもらえるように、その先生から病院のERに直接電話して、私が到着次第すぐに治療が受けられるように手配をするとまで言っている。
そんなに危険な状態なのか?少々大げさではなかろうか?
病院をいくつかリストアップしてもらうと、会社からすぐの場所に病院があるようなので、そこに行く事を告げて電話を切る。同僚には午後半休を取ることを伝えて、ふらふらのまま車に乗り病院へ向かった。病院は家と会社の真ん中くらいの位置にあり、車でほんの数分の距離である。実は毎日通る道だったのに、病院がこんな近くにあるなんてこの時まで知りもしなかった。
ERの待合室にはたくさんの人がいた。受付らしき所で名前を言うと、「あ~、あなたね!待ってたわよ!」なんて言われる始末。何このVIP対応?
通常、ERでも緊急でない場合はかなり待たされることがある。ERと言われていても、実はERではなかったりもする。
ちょっとしたフォームを入力してから、すぐに治療室に呼ばれた。椅子に座ると看護師が二人ほど私の周りでバタバタ動いている。この時は体調がかなり悪かったのもあり、わけも分からぬまま採血が行われ、そのまま点滴を入れられ、治療室のベッドでぼ~っと横になっていた。
1時間くらい経過したのだろうか。看護師さんが来て、「今日は入院してください」と一言。
入院?そんなことは聞いていない。専門医の先生だって確か2~3時間って言っていたはずだ。入院って言ったって何も持ってきてないし、今日の食べかけのランチは車の中だし、家は1ブロック先だから必要なものを取りに帰りたいと言うと、それはできないと言う。
仕方がないので、事情を知っていた友達に電話を入れる。必要最低限のメイク落としと洗顔フォーム、歯ブラシだけ持ってきてもらうようにお願いした。
入院が決まると部屋が割り当てられ、点滴を入れながら車椅子で移動となった。アメリカでの入院は今回が始めてである。全室個室となっていて、冬なのにエアコンがガンガン効いている。部屋の中にはホワイトボードがあり、担当の看護師とテック(テクニシャン?)の名前と電話番号が書いてあった。
日本のように看護師が全部やるわけではなく、看護師はあくまで医療系のことしかやらず、ちょっとした雑務はすべてテックに頼む必要がある。
一回、担当のテックが電話に出ないので看護師に電話したら、「それは私の仕事じゃないわ」とピシャリ言われた。
思わぬ入院生活。これからどうなるのだろうか。不安はなく、とにかくどうにでもなれという感じだった。ERの治療費っていくらなのだろうか?と考えたりもしたけど、まさかこんな治療で貯金が全部飛ぶほどではなかろうと思い、お金の心配は後回しにした。
せっかく入院しているのだから検査もしましょう!ということになり、シンチグラムという検査を受けることに。薬剤を点滴され、しばらく放置したあと、MRIのような筒状の機械に入る。出てきた画像を見た先生は、「なんでこんな大きな腫瘍があるのに気づかなかったの?」と一言。確かに大きい。ゴルフボールくらいあるような腫瘍だった。
確かに首のあたりにゴロゴロするものがあるのは分かっていたけど、まさか腫瘍だとは思ってもみなかった。ここで手術が決定となった。
夜、友だちが数人来てくれた。家族が近くにいない私にとっては、本当にありがたかった。
ここの病院は、食事メニューが置いてあって、好きなものを電話で注文するというスタイル。日本のように時間になると運ばれてくるのとは違い、電話してから15分ほどで届けてくれるため、お腹が空いたら電話すればいいことになっている。
メニューを見てさらにビックリ。ハンバーガー、Mac&Cheese、フライドポテト・・・。なにこれ?本当に病院食なの?ジャンクフードがずらり。おかゆとかお味噌汁とか、お魚なんていうメニューはひとつもない(当たり前か・・・)。
何を注文したかは忘れたけど、会社のカフェテリアと同等のまずさで、さっさと退院したいと思ったのであった。
カルシウム値も少し下がったのか、気分はよく吐き気も収まり、翌朝のカルシウム値は11まで下がったとのことで退院許可が降りた。
ここから、外科医を紹介してもらい、手術の予約、そして手術と進めていくことになる。
甲状腺の手術を受けられたと聞いていましたがこんなに大変なお話だったんですね…。
返信削除でも、原因が分かって無事に対処できて良かったですね。
最近自分も腰やら膝やらいろいろと故障気味なので体を大事にしてあげないとな~…って思っているところです。
お互い気をつけていきましょう。
あの年は病気の年だったというか、顎関節症に副甲状腺に、ほんとに困りました。
返信削除でも手術のおかげで回復したし、今はアウトドアも楽しめているので問題はないですが、やっぱり健康は大事だなとつくづく感じました。
mitsu-10さんも故障気味とのことなので身体をいたわりつつ、好きな事を楽しんでくださいね~。