さらに、今回が初めてのバックパッキングということもあり支度にかなり手こずった。テントをたたみ、荷物を分散する。2人で「あーでもない、こーでもない」と試行錯誤しながら、薄暗いヘッドランプの下で作業をした。正直何を持っていいのかすらも分からない状態だった。
3:50AMにキャンプサイトをチェックアウトし、急いでシャトル乗り場に向かうも真っ暗で迷子になり、シャトルを逃してしまう始末。何回も来ているけれど、夜のグランドキャニオンは街灯はなく真っ暗で車のヘッドライトが照らす一部しか見えないため、ものすごく分かりにくい。
次のシャトルを待っても良かったのだけど、最終的には予定としていたSouth Kaibab(サウスカイバブ)トレイルを諦め、Bright Angel(ブライトエンジェル)トレイルで降りようということになった。
荷物は増やしたくなかったものの、思っていた以上に寒くフリースが必要だったので、フリースとウィンドブレーカーを着込んで4:40AM、いざ出発。
日の出前で薄暗かったけれども、ヘッドライトなしでも問題なかったので気をつけながら下る。しかし、バックパックが重い。段差がある箇所では、一歩踏み出すと上半身がグラグラと揺れる。あまり安定していない感じだ。さらに、一歩歩くごとに膝に負担がかかる。
今回は初めてトレッキングポールも使ってみた。これがなかなかの優れもので、このおかげで上半身が若干安定していたと思う。2つ目のトンネルを通過する時にはだいぶ明るくなっており、キャニオンに光が入りだした。
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| ブライトエンジェルトレイルでの日の出 |
トレイルには人はほとんどおらず、日の出独占状態であった。太陽の光がキャニオンの岩壁にあたると、入ると眠っていたキャニオンが起きだすかのようにオレンジ色に輝く。そしてじわじわと気温が上がっていく。
この時期のグランドキャニオンは昼間は暑くなるとのことだったので、できる限り涼しいうちに距離を稼ぎたかった。しかし、思うように距離を伸ばすことができずにいた。
1.5マイル地点で休憩を取る。肩が猛烈に痛いし腕もしびれている。まだ1.5マイルなのに、こんな状態だったら残り8マイルは地獄である。そこまで重いわけでもないので、おかしいと思い、バックパックのストラップを引っ張ったり短くしたりと調整してみた。
きちんとしたハイキング用のデイパックやバックパックには調整可能なストラップが最低4箇所ある。基本的には、ヒップベルト、ショルダーベルト、ショルダースタビライザー、そして胸部のストラップである。今回はショルダースタビライザーの締め具合が悪かったようだ。
ショルダースタビライザーを調整すると、あらビックリ。あれだけ肩にのしかかっていた重みが一気に軽くなった。これだったら残りの8マイルは大丈夫そうだ。さらに、動いているせいもあって身体が暖まってきたので、フリースはバックパックにしまってUVカット対応の長袖シャツ一枚にする。さらに腕や首に巻いていたタオルも水が滴れるくらいに濡らす。湿度が低いのと、太陽の日差しが強いのもあり、こうやって体温を下げてやると、より快適に歩くことができる。
ここで中学生だか高校生だかの団体が一斉に降りてきた。20人くらいいて叫んだり歌ったりとなかなか騒がしい。かなりの軽装なので3マイル休憩所かIndian Garden(インディアンガーデン)までなのだろう。7:00AM、3マイル休憩所に到着。
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| 3-mile rest stopで休憩 |
1/3歩いたところで後ろを振り返ると、随分と降りて来たことが分かる。見ると絶壁。下から見るとこの絶壁にトレイルがあることが嘘のように思えるくらいである。こうやって下から眺めるのも、また違ったキャニオンが見れて楽しい。
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| 3-mile rest stopから見たリム |
ここでバックパックのサイドポケットに入れておいた朝食の残りのマフィンをリスに盗まれてしまった。一瞬の隙に、気づいたらなくなっていた。グランドキャニオンのリスは餌付けされているのもあり、本当に凶暴である。手まで登ってくるのだから侮れない。
次の目的地はIndian Gardenである。3マイル休憩所までは来たことがあったので、ここからは未知の世界となる。赤い地層で有名なRed Wallを通過する。今度はブーツがピンク色なった。
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| Red Wallに突入 |
一歩一歩、ゆっくりと歩く。軽装のデイハイキングとは違い、ペースがものすごく遅い。本当に谷底まで行けるのだろうか。
9:00AM、Indian Gardenに到着する。距離的に言えばここが半分となる。バックパックを下ろし、しばし休憩。他にもたくさんのハイカーが日陰で休んでいた。そういえば、あの団体はどこへ行ったのだろうか。まさかあの軽装で谷底へ?
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| Indian Gardenの休憩所 |
Indian Gardenにはクリークが流れており、ここ一帯だけ木々が多く緑々している。水道はもちろんのこと、キャンプグランド、そしてちょっとしたレストエリアもある。標高もだいぶ下がっているため、暑さも増している。上半身全体に水を浴びていざ出発。
Indian Gardenを通過すると、狭いキャニオンの中に入っていく感じとなる。ここでミュールツアーと遭遇。ハイカーは壁側に寄り、バックパックなど引っかかりやすいものは壁側に向ける必要がある。ミュールは崖っぷちギリギリを歩いて行く。通過すると砂埃が舞い上がり、さらにはミュールの落としものにも遭遇する。砂埃だけでも苦痛なのに、熱気を伴う糞尿の匂いには本当にうんざりする。
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| ミュールツアーの方々 |
Indian Gardenを越えたあたりから日陰が少なくなってきた。トレイル沿いにはクリークが流れているので、所々で上半身を濡らす。しかし乾燥しているのもあり、あっという間に乾いてしまった。頭に濡れたタオルを置いたり、上半身を濡らしたり、水分補給を欠かさず行ったりと、暑さ対策は必須である。
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| クリークで一休み |
いくつかクリークを横切ったところで、魔のスイッチバック "Devil's Corkscrew"(デビルズ・コークスクリュー)が現れた。日陰はほぼゼロ。名前の通り、ここは真夏はかなり苦痛なスイッチバックである。
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| Devil's Corkscrewスイッチバック |
日陰になっている部分は所々ぬかるんでいて、トレイルの幅は狭く、すぐ横は崖となっているため、バランスを崩さないようにぬかるみを回避しながら歩いた。しかし、右はぬかるみ、左はミュールの落とし物があったりと、遅いペースがさらに遅くなる。途中、唯一あった日陰で一休み。コロラド川から歩いてきていた男性と一緒になり、コロラド川はすぐ近くだと教えてくれた。
スイッチバックも終わり、またクリークの横を歩く。腕を濡らし、タオルもビシャビシャにして首に巻く。オヤジっぽいと思われるかもしれないけど仕方がない。ここではファッションは二の次で、いかに暑さをしのぎ、体温を保ちながら安全に、且つ快適にハイキングをするかが重要なのである。
そして、リム付近で見かけた子どもたちが下から歩いてきた。なんと、川まで行っていたらしい。それも500mLのボトル一本で。Indian Gardenまで行けば、あとは1.5マイルごとに水道があるので多分大丈夫だろうが、空っぽのボトルを持っている子たちもいて心配だった。さらに、降りてきた時の元気は全くなく、みんなバテ気味。
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| Devil's Corkscrewからの眺め |
ここらへんまで降りてくると、「グランドキャニオン」という雰囲気はなくなり、どこかのウィルダーネスにいるようだった。何しろ暑い。水分補給は欠かさず行なっているものの、顔が火照り始めた。日陰があるところで休憩しながら、ゆっくりペースで進む。
しばらくクリーク沿いに歩くと水の音が聞こえてきた。クリークのようではなく、もっとゴーゴーと勢いのある川の音である。コロラド川に違いない。歩くにつれて徐々に川の音が大きくなり、緑色のコロラド川が姿を現した。この場所はPipe Creek Beach(パイプクリーク・ビーチ)と呼ばれている場所で、Bright Angel Campgroundまでは2マイルの距離である。
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| Pipe Creek Beach。奥に見えるのがコロラド川。 |
しばらく休憩した後、今度はコロラド川沿いを歩く。
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| コロラド川沿いのトレイル |
川に出たからもう登りや下りはないだろうと思っていたら、実はBright Angelキャンプグランドまでは緩やかな登りと下りの連続であった。太陽は容赦なく照りつけ、気温は100F。水を十分に補給しても身体の冷却機能が追いつかない。顔は火照り、手はむくみ、足が重い。
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| トレイルからの眺め |
さらに途中から砂地となり、足を取られて重い足取りはさらに重くなる。一箇所、大きな岩でできたアルコーブがあったのでそこで休憩。友達もかなり疲れている。持っていた水の半分を上半身にかけ、日陰で身体を冷やす。
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| コドラド側にはラフティングツアーが滞在していた |
コロラド川にはラフティングツアーを楽しんでいる人たちが。なんとも羨ましい。川におもいっきり飛び込みたいくらいである。
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| ブラックブリッジが見えてきた |
体温も下がってきたところで、重いバックパックを背負って歩き出す。Bright Angel Suspension Bridge(ブライトエンジェル・サスペンションブリッジ)が見えてきた。この橋は黒いので、Black Bridge(ブラックブリッジ)とも呼ばれている。ここでようやくゴールが身近に感じられた。あの橋さえ渡れば、キャンプサイトはすぐそこだ。
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| 橋の手前にあるサイン。もうすぐゴール。 |
橋は2本あり、Bright Angel側とSouth Kaibab側にもある。ミュールツアーが使うのはSilver Bridge(シルバーブリッジ)と呼ばれるSouth Kaibab側のものだ。
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| 橋からの眺め。Zoroaster Templeがよく見える。 |
そして橋を渡る。勢い良く流れるコロラド川。ゴーゴーと音を立てて雄大に流れている。ちょっと奥にはKaibab Suspension Bridge(カイバブ・サスペンションブリッジ)、そしてその向こうにはZoroaster Temple(ゾロアスター・テンプル)がどっしりと構えている。普段リムから見るグランドキャニオンとはまた違ったアングルであった。
しばらく歩くと家があり、水道とトイレもあったのでここで休憩。また上半身を水で濡らす。こうやって濡らしても100Fの乾燥地帯では、15分もしないうちに乾ききってしまう。
Bright Angel Creek(ブライトエンジェル・クリーク)手前で左折し、大きなオーバーハングの岩の下を通過するとBright Angelキャンプグランドとなる。1時PM、無事に到着。
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| ハイキング時間は8時間20分。想定時間の倍かかった。 |
Bright Angelキャンプグランドには、33のサイトがあり、すべてクリーク沿いに位置している。サイトは早いもの勝ちで、空いていれば自由に選べるようになっている。しかし、午後到着の私達はあまり選択肢がなく、26番に決定。
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| Bright Angel Campground |
ここも餌付けされたリスがいるので、バックパックは各サイトに設置されている鉄製のポールにかける必要がある。また食べ物や匂いの強いものは、同じくサイトに置いてあるAmmo Canにしまい、バックパックはいざリスが入ってきても大丈夫なようにジッパーなどはすべて開けておく必要がある。許可証はバックパック、もしくはテントに吊るしておけばOKだ。
定期的にレンジャーが見回りに来るので、目のつきやすいところに許可証を吊るしておけば基本問題ない。
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| 26番キャンプサイト |
恐らく気温は100Fを超えていた。暑い中テントを設営。その後、お昼ごはんにした。この日は市販のフリーズドライのMac&Cheese。暑くてじっくりピクニックテーブルに座っていられないので、すぐにクリークに飛び込む。
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| 服を着たままクリークにジャンプイン。服も身体も洗えて一石二鳥? |
このまま浅瀬にゴロンと寝転んだ。クリークの水は最初は冷たく感じるものの、5秒もすれば身体に馴染み、火照った身体を冷やしてくれる。
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| ブライトエンジェル・クリークからの眺め |
ゆっくりと流れるBright Angel Creek。その向こうには岩壁が見える。リムの騒々しさはここにはなく、静かでゆったりとした時間が流れる。聞こえるのは水の音と、たまに人の話し声。クリークに浸りながらただただボーッとした。
ここで同じく外に座っていたヒューストン在住の男性に出会った。息子はノースリムから、自分はサウスリムから横断し、中間地点のファントムランチでお互いの車の鍵を交換するのだそうだ。この男性、この日のためにスタジアムでバイトして階段の登り降りは相当数こなしたのだとか。
一旦キャンプサイトに戻り夕ごはん。昼食と同じく市販のフリーズドライ食。今夜はチキンライスにした。お湯を沸かして注ぐだけ。12分で完了。味もそれほど悪くないけど、量は少なめ。二人分だけど男性であれば一人分と思える量である。
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| チキンライス。見かけはまぁまぁ、味もまぁまぁ。 |
8時過ぎにまたファントムランチへ。レモネードという気分ではなかったので、ビールを飲むことにした。Tecateビールはなぜか1本$4.50という高値。すべてミュールで運ぶことを考えると仕方のない事なのかもしれないけれど、通常価格の7倍近いお値段である。
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| $4.50のTecateビール |
しかし、今日はがんばったので、値段のことは気にせず、ビールを美味しくいただいた。ちなみに、このお店は当たり前なのかもしれないけれどクレジットカードの利用が可能だ。こんな辺鄙な場所でもクレジットカードOKなのは、アメリカならではである。
また、自分宛にポストカードも書いた。今日のハイキングの様子を簡単に書いておく。楽しいし記念にもなるので、旅行に出た時はたまにやっている。このポストカードは会社のキューブに飾ってある。裏は、Nankoweep(ナンコウィープ)トレイルから見たグランドキャニオンだ。いつかは歩きたいトレイルの1つである。
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| 自分宛に書いたポストカード |
ビールも飲み、眠くなってきたのでキャンプサイトに戻ることに。独立記念日だったのもあり、外ではちょっとした花火大会があったようだけど、すっかり逃してしまったらしい。ヘッドライトで足元を照らし、サソリ探しをしながら来た道を戻る。
カチコチになった身体を丸めてテントに入る。身体のふしぶしがミシミシと音を立てるのではないかというくらい痛かった。ゆっくりスリーピングパッドに仰向けに横たわると、プラネタリウム並の満点の星空が視界に飛び込んできた。しばらく星を眺めていたが、疲れていたのもありすぐに眠りに落ちた。ブライトエンジェル・クリークのせせらぎがとても心地良かった。
2010.7.3 - グランドキャニオン国立公園サウスリム
2010.7.4 - ブライトエンジェルトレイル経由でグランドキャニオンの谷底へ
2010.7.5 - プラートポイントで夕陽鑑賞
2010.7.6 - サウスリムへの登り、そしてペイジへ移動
2010.7.7 - The Waveの抽選に初当選!
2010.7.8 - The Waveへ行く
2010.7.9 - Coyote Buttes Southを歩く
2010.7.10 - Horseshoe BendとPetrified Forest
2010.7.11 - セドナでプチ観光


























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