猛暑の中での8時間のハイキングのお陰で、ぐっすり休むことができた。真夏にグランドキャニオンでバックパッキングをする場合は、基本スリーピングバッグは不要である。私は薄くて軽く、吸収性に優れたREIのバスタオルを掛け布団代わりにした。
4AMに起床、テントをたたんで荷造り開始。この日は中間地点のIndian Garden(インディアンガーデン)でキャンプする予定だったので、距離的には問題ないはずである。真っ暗な中、ヘッドランプをつけて5AMに出発。
まだ気温はそれほど高くはなくとも、まだ腕とタオルを水がしたたるくらいに濡らし、橋に向かって歩く。ここらへんで少しずつ明るくなってきた。
![]() |
| 日の出前のコロラド川 |
橋を渡りコロラド川を見下すと、ラフティングツアーの人たちのテントが見える。
![]() |
| ラフティングツアーの人たち。テントが見える。 |
気温も80Fほどだったため、とても歩きやすく1時間でPipe Creek Beach(パイプクリーク・ビーチ)に到着。昨日と比べると圧倒的に早いペースで来ている。恐らく、これがいわゆる「普通」のペースなのだろう。
![]() |
| パイプクリーク・ビーチ |
そして、ここからDevil's Cork Screw(デビルズ・コークスクリュー)のスイッチバックを登る。陽があたると一気に気温があがるため、できれば日陰のうちにこのスイッチバックをクリアしたい。
![]() |
| スイッチバックへの道のり。右側はクリークが流れている。 |
スイッチバックまでは緩やかな登りで、クリーク沿いに歩く。ここでミュール5頭が通過。ツアー客はいなかったので、荷物を運ぶミュールのようだ。砂埃を舞い上げて通過していく。
![]() |
| 朝日に照らされるサウスリム |
スイッチバックに差し掛かるところで、リムが光に照らされた。日の出である。一歩一歩足を前にだして、少しずつ距離を伸ばす。昨日のように暑くもなかったので、登りもそれほど苦痛には感じられなかった。気温が違うだけで、こんなにも快適度が変わるとは、知ってはいたものの改めてビックリである。
![]() |
| Devils Corkscrew Switchback |
スイッチバックを2/3登ってきたところで、デビルズ・コークスクリュー・スイッチバックにも陽があたり始めた。しかし、まだ7時前ということもあり、それほど暑いと感じることはなかった。スイッチバックを登り終えた時は開始地点のブライトエンジェル・キャンプグランドからは2時間経過していた。
ここで休憩。友達を待つ。しばらくその場にいたドイツ人家族と会話。水分補給、そしてスナックを少し食べて体力回復。インディアンガーデンへ向かう。
幅の狭いキャニオンを通過する。スイッチバックからインディアンガーデンまでは標高差はそれほどなく、緩やかな登りで歩きやすい。
キャニオンを通過すると、背の高いコットンウッドの木が見えてくる。ここまでくるとインディアンガーデンまではあとわずかだ。
![]() |
| この木が見えたらもうすぐ |
あたりが緑色になり、標識が見えたらもうすぐそこだ。
![]() |
| インディアンガーデンは0.3マイル先 |
インディアンガーデンは、リムから見てもすぐに目に付くくらい緑が豊富な場所である。クリークが流れ、日陰も多く、真夏のグランドキャニオンでは砂漠のオアシスだ。
![]() |
| インディアンガーデン |
インディアンガーデンにある茶色い石でできた建物は、Transcanyon Water System(トランスキャニオン・ウォーターシステム)のポンプステーションである。Garden Creek(ガーデンクリーク)から水を引っ張り、サウスリムまで供給している。以前は列車で大量の水をサウスリムまで運んで需要を満たしていたけれど、このウォーターシステムが建設されてからは、その必要がなくなったようだ。グランドキャニオン国立公園で重要な役割を果たしている建物である。
![]() |
| ポンプステーション |
友達は男性ハイカーと現れた。同じく、今日インディアンガーデンでキャンプするらしいので、イギリス人ジョンと一緒に行動することになった。
まずはキャンプグランドまで行き、テントを設営する。この日のサイトは13番。日陰も多く快適であった。
![]() |
| 13番のサイトでキャンプ |
ここもリスが出るため、バックパックはポールにかけておく必要がある。食べ物や匂いのあるものはすべてAmmo Boxに保管する。
![]() |
| Ammo Box。各サイトに2つある。 |
トイレはコンポストトイレで、キャンプグランド内に数カ所ある。特にキレイというわけでもないけど、汚くて使えないという感じでもなかった。
ひと通り準備が終わったので、ジョンと一緒に朝食を取る。さらに、隣のキャンプサイトでごろ寝していたドイツ人青年ダニエルも加わり、賑やかな朝ごはんとなった。ジョンは気が向くままに世界を旅している。麦わら帽子のダニエルの本業はピアニストらしい。「何年前のコンデジ?」と思えるカメラに三脚を取り付けて写真を撮っていた。ちょっと風変わりな青年である。
家に戻ったあと、ダニエルが運営するウェブサイトにアクセスしたら、結構いい写真が並んでいた。また、彼の演奏もリストされていたので聴いてみた。繊細で柔らかいピアノの音色は、彼の優しい性格がにじみ出ている感じだった。
![]() |
| 4人で朝ごはん |
しばらく4人でワイワイ話したあと、ダニエルはサウスリムに向けて出発すると言い出した。レンジャーにも、すでに気温は高いし、バックカントリーの許可証をその場で発行するから、インディアンガーデンに滞在しろと言われたのだけど、「大丈夫」と言い切りその場を後にする。彼は荷物をミュールに預けてしまったので(有料: 片道$70)、キャンプは無理だったようだ。
日陰の多いインディアンガーデンの気温は90F。日陰の外に出たら100Fは超えているだろう。
![]() |
| 日陰でも90F |
![]() |
| テントでごろ寝 |
ちょっとしたビジターセンターの中には本がいくつかあったため、アリゾナの植物が載っている本を手にした。砂漠地帯には不思議な形をした植物が多く、目にしては気になっていたので、パラパラとページをめくる。
![]() |
| Indian Gardenのビジターセンター |
![]() |
| 開いてたけど誰もいなかった |
![]() |
| 一応スタンプを押しておく |
ジョンと話したり、近場で写真を撮って時間を過ごす。インディアンガーデンには10cmほどのトカゲが大量にいた。
![]() |
| 10cmほどのトカゲ |
夕方はレンジャーのオススメでプラトーポイントで夕食&夕陽鑑賞をする予定だった。そのため、食料、ストーブ、食器を小さなデイパックに詰め込んで、5時半PMにプラトーポイントに向けて歩き出す。インディアンガーデンからは片道1.5マイルで、標高差はほとんどない。
インディアンガーデンの休憩所には、今朝は見かけなかった看板が配置されていた。コロラド川までの距離、標高差、何かあっても自己責任であることが記述されている。前日、炎天下の中コロラド川まで下ったけど、本当に暑くて水を飲んでも限界を感じた。個人的には陽射しが強い午後は危険なので絶対にやめたほうがいいと思う。
一旦インディアンガーデンを出ると、そこはまた砂漠地帯。ノースリムがよく見えて景色は抜群なのだけど、日陰は一切なく、ある程度陽射しが和らいだ夕方でも結構しんどく感じた。
サボテンも所々に生えている。途中、Tonto(トント)トレイルとの分岐点があった。Tontoはスペイン語で「愚か」という意味らしく、ジョンはなぜかトントトレイルの看板と一緒に写真を撮ってくれと言い出す。
少し進むとPlateau Point(プラトーポイント)の看板があり、ゴールとなる。
下にはコロラド川が優雅に流れている。川の音も少しだけ聞こえた。コロラド川は昨日と今日たくさんみたので、特に珍しいこともなく、少し見てからすぐに夕食の準備に取りかかった。
![]() |
| 緑色のコロラド川とDevils Corkscrew手前 |
先ほどの貯水タンクまで行き、水を汲んできたあと、お湯を沸かし、いつものフリーズドライ食の出来上がりだ。陽は傾き始め、キャニオンが少しずつオレンジ色に染まる。
![]() |
| プラトーポイントから見るサウスカイバブ方面 |
South Kaibab(サウスカイバブ)トレイルの真横にあるO'Neill Butte(オーネイル・ビュート)がよく見える。今頃サウスリムのオーバールックは人でごった返しているのだろう。それに反してここは私達3人と、もう1グループのみである。
![]() |
| 彼らは豪盛にスパゲティだったようだ |
リムからは夕陽を何度も見ているし、リムからは壮大なグランドキャニオンが一望できるので見応え抜群なのだけど、個人的には静かにゆっくりと夕陽鑑賞できるプラトーポイントのほうが好みである。重い荷物を背負ってたくさん歩いたご褒美だ。
![]() |
| 日の入り直前。真っ赤に染まるキャニオン。 |
日の入り直前、真っ赤に染まるサウスカイバブ方面。そして陽は沈み、燃えるようなキャニオンは少しずつ色あせてゆく。
![]() |
| この景色は誰が見ても美しいと思うのだろう・・・ |
つい最近、REIのブログにグランドキャニオン国立公園についての記事が載っていた。グランドキャニオン大好きな著者は、リム横断を60回以上行なっている強者である。そんな彼はアリゾナに立ち寄った弟夫婦にグランドキャニオン訪問を強く薦めた。
しかし、旅行から戻ってきた弟夫婦の反応は、彼の想像とは真逆のものだった。
"A big hole in the ground."(地面に空いた大きな穴)と表現したのだ。
さらに、$25の入園料を払う価値はないとまで言い出した。彼はガッカリし、なぜこうも意見が食い違うのかを彼なりに考えてみたのだった。
彼の結論は「グランドキャニオンの本当の壮大さや美しさは歩くことでしか感じ取れない」、「リムから見る景色はただの岩」ということだった。
私はリム横断はしたことはないけれど、彼の言っていることは今となってはよく分かる。歩いてなんぼの公園なのだ。リムからは想像もつかないような景色が谷底にはある。「砂漠の岩」という印象を覆すような、砂漠地帯独特のカラフルな植物、ゆっくり流れるクリークがそこにはあった。
「地面に空いた大きな穴」の公園であれば、60回もの訪問はしなかったと思う。グランドキャニオン訪問時には、是非ほんの30分でもいいからトレイルを歩いてみることをオススメする。意外な発見があると思う。
太陽も沈み、あたりは徐々に暗くなる。片付けをしてインディアンガーデンに戻ることにした。
![]() |
| 日の入り後、帰り支度をして出発 |
意外と明るく、インディアンガーデンに到着するまではヘッドライトいらずであった。しかし、一旦インディアンガーデンに足を踏み入れると、木々が夜空を遮り、何も見えなくなってしまった。
ヘッドライトを頼りにキャンプサイトに戻る。風もなく快適な夜だったが、若干肌寒く感じた。そんなこんなですぐに眠りについたのだけど、夜中ものすごい強風となり、サウスリム方面から吹く風の音で眠ることができなかった。
風が遠くから近づいてくるのが分かる。こういう体験は初めてだった。うとうとと眠りについたのもつかの間、クマに襲われる夢を見て、再び目が覚めてしまったのであった。
2010.7.3 - グランドキャニオン国立公園サウスリム
2010.7.4 - ブライトエンジェルトレイル経由でグランドキャニオンの谷底へ
2010.7.5 - プラートポイントで夕陽鑑賞
2010.7.6 - サウスリムへの登り、そしてペイジへ移動
2010.7.7 - The Waveの抽選に初当選!
2010.7.8 - The Waveへ行く
2010.7.9 - Coyote Buttes Southを歩く
2010.7.10 - Horseshoe BendとPetrified Forest
2010.7.11 - セドナでプチ観光































スイッチバッグのあたり、片側はかなりの崖っぷちですね。 最近高所恐怖症になってしまって、思い切って行けるかな、と歩き始めたハイキングの道もしり込みしちゃってとっても残念でした。 (グランドキャニオンではありませんでしたが) Satoさんのお写真で歩いた気分で楽しませていただいています。
返信削除スイッチバックのあたりはそれほどでもないと思います。ジグザグになっているので、実はすぐ下にトレイルがあったりします。ブライトエンジェルはそれほど「怖い」と思ったところはありませんでした。私も以前に比べたら高い所は苦手になったけど、高所恐怖症ではないので、あまり感じないのかもしれませんが・・・。
返信削除